第19章 問題児たち
少しするとノックの音がした。
コンコン。
「開いてるよ」
「お邪魔します。」
キィ…とドアをゆっくり開け
霞が俺の部屋に入ってきた。
「うわ、暗いな!
こんな暗い所でパソコン見てると
目に良くないよ!!
そうじゃなくてもドライアイなのに!」
母ちゃんみたいな事を言いながら
霞は勝手に電気を付けた。
「勝手につけるなよ。
暗いのが落ち着く……」
んだよ。と怒るべく霞をみた。
暗くて気付かなかったが
なんちゅー格好だ。
短いショートパンツに胸元が開いたTシャツ。
「おい、そんな格好で外をウロつくなよ。」
「部屋で寛いでるときに
呼び出されたんだから仕方ないじゃない。」
目を逸らしながら注意すると
悪びれもなく言い返してきた。
一刻も早く話を済ませて部屋に帰らせよう。
俺の心臓に悪い。
「明日からの心操の特訓メニューなんだが、本格的に捕縛布を指導していこうと思うんだ。
仮免許の補講の付き添いもあるから、対人格闘技は霞に任せてもいいか?」
「私はいいけど、捕縛布と合わせた体術で教えなくていいの?」
「その辺は俺も独学だからな、
感覚で覚えていってもらうしかない。
基本的な戦闘も覚えた方がいいだろ。」
それもそうか、と霞も考え込む。
霞は霞なりに心操のことを考え、技術的な指導は一切行わずサポートに徹してくれている。
本当は自分が一番力になりたいと思っているだろうが、霞は俺に任せるのが一番心操のためになると信じてくれている。
だから心操の件に関しては全てを俺に一任してくれている。
余計な口を挟まず、メンタルケアや体力強化のサポートをしてくれるのはとても助かっている。
俺はメンタルケアは不得意だからな。
「うん、わかった。
消太くんも忙しいもんね。
できる事は何でも手伝うから!」
霞が気合い充分、とばかりに拳をグッと握った。
俺もついフッと口元が緩む。