第17章 寮での新生活
A組の寮舎を後にして
B組の方にもお菓子を渡してきた。
生徒たちの顔を見れて満足した私は教師寮へと戻ってきた。
「オールマイト!お疲れ様です。」
談話室のソファーにオールマイトが座って本を読んでいた。
「やぁ、霞くんもお疲れ様。」
「何読んでるんですか?」
“すごい馬鹿でも先生になれる!”
覗き込むと表紙にそう書いてあった。
「へぇ!教育本。
勉強になったら私にも貸して下さい!」
「もちろんさ!
この前の飲み会で相澤くんに教育論を教授してもらいたかったんだけど、ちゃんと聞けなかったからね。
自分で勉強していこうと思ってさ。」
なるほど、さすがオールマイト。
努力家だ。
私はなんとなく自分のやりたいようにやってしまっているからなぁ……。
私もそうゆう本、探してみようかなぁ。
「霞くんも一人の生徒に入れ込むのってやっぱり良くないと思う……よね?」
「え?緑谷くんのことですか?」
「……やっぱり、わかる?」
ハハハとオールマイトが苦笑いして額を掻いている。
消太くんに何か言われたのかな。
「あからさまにその子にだけ特別扱いするのとかはもちろん良くないと思いますが、私たちだって人間ですからね……。
思い入れのある生徒だったり、自分と似ている子だったり、そういう子に手を差し伸べるのはアリだと思いますよ。」
教師である前にヒーローですからね。と付け足してオールマイトの隣に腰掛けた。