第16章 交差する感情
「あららら〜、省エネ消ちゃん。
愛しの霞に逃げられちゃってジェラシー感じちゃってるのドゥーイット!?」
さっきまで二日酔いで青い顔していたマイクは、人の不幸を活力に変え、復活したらしい。
一生青い顔してればいいのに。
こうゆう時は無視だ。
「昨日、霞が先に抜けて
俺らが帰る時にホークスが空飛んで行くの見ちゃったら、そらぁ焦るよなァ〜!
なぁ、消ちゃんよぅ!!」
HAHAHAHA〜☆と
それはそれは楽しそうに笑っていやがる。
相変わらずむかつく。
昨日のことをしつこく霞に問うと、顔を赤くして逃げられる。
あのヘラヘラ鳥男と何かあったとしか考えられない。
聞いたところで何か変わるわけでもないし、聞いてショックを受けるかもしれないが……気になる。
マイクが店に来たところまでは覚えているんだが、そこからの記憶が曖昧だ。
オールマイトに恋人なのかと聞かれ、動揺したまま飲み過ぎたらしい。
俺も毎度毎度成長しない……。
もう酒は飲まないと決めたはずなのに。
霞はミッドナイトと食堂へ消えていった。
相変わらず進展のない俺と霞の関係。
少なからず嫌われてはいなそうだが、それが兄に対する気持ちだとしたら……
今の関係性を壊すのが怖くて
足を踏み出せない俺なんかより
今をときめくNo.3……いや、オールマイトの引退により実質No.2ヒーローのホークスの方が霞にお似合いなのだろう。
わかってはいるが気に食わない。
最近はどうにも霞に対する気持ちが大きくなっているのが自分でもわかる。
しかし、お互い今はそれどころではない。
より強固に生徒たちを守り育て上げなければならない。
だから恋愛に現を抜かしている場合なんかでは、ない。
……頭ではわかっている。
わかってはいるが……
くそ、考えてもラチが開かないし
起きててもマイクがうるさい。
寝よう。
そう決めて職員室で堂々と寝袋に潜り込んだ。