第16章 交差する感情
「……っぷ」
ホークスが震え出したので寒いのかと慌てて上着を返す。
すると、その上着を取り上げられ大笑いされた。
「ブッハッハッハッハ、ヒィ~~~、
お、お腹痛い……、か、勘弁してください、よ、ブフ」
何かおかしいこと言ったかな?
よくわからないが、ホークスは楽しそうに続けた。
「いや~、相変わらず難攻不落っぷり。
安心したと。霞サンには本当にド直球で行かないとダメたいね。」
ヒィヒィ言いながら、
笑いすぎて出た涙を拭っている。
はァ~、一年分くらい笑ったかも!と言いながら上着を羽織っている。
少しムッとした私をみて更に笑った。
「よ~くわかりました、霞サン。
次は正攻法で行きます。覚悟しておいて下さい。」
「う、うん。
なんだか知らないけど、わかった。」
ヒーローネットワークで依頼する。
とかそういうことだろうか……?
疑問に思いながらホークスを見た。
さっきまでケラケラ笑っていたホークスが
私の顔のすぐ横に腕を伸ばした。
寄りかかっているフェンスがギシッと音を立てる。
そちらに意識を持っていかれていると、素早く顎を掴まれクイッと上を向かされる。
え?っと言葉が出る前に唇を塞がれた。
びっくりして目を見開く。
ホークスのドアップが目の前に広がる。
驚いて押し返そうとする私をフェンスへと押し付け、さらに角度を変えて口付けてきた。
「……~ッ!ちょっとっ!!!」
何するの!という言葉を発する前に再び軽いリップキスをされ、したり顔のホークスからようやく解放された。
バサッと大きくて綺麗な剛翼を広げ、空に浮かんでいく。
「何故キスしたのか、は
次に会う時までの宿題ですね。霞先生?」
それじゃ〜!と片手を上げ、一瞬で空へと飛び立っていった。
ポカンとして、追いかけるという考えも思い付かなかった私はホークスが去って行くのを目で追うしかなかった。