第16章 交差する感情
私は少し身震いをした。
夏とはいえ、夜も更けってきたビルの屋上は肌寒い。
それをホークスは気付いたのか、私の隣にフワッと降り立つと自分が着ている上着を脱ぎ、私の肩にかけてくれた。
「ありがとう」
「いいえ。」
どこか店に入る?と言っても、
すぐ帰るからここでいいという。
「霞さん、教師まだ続けるんですか~?」
「続けるも何も、まだ半年もやってないんだけど」
呆れた、という目でホークスを見る。
私のそんな目線はまったく気にしていなさそうだ。
「俺のところ来ればいいのに。」
ま~た、そんな事言ってる。
と缶コーヒーに口を付けるとホークスに腕を掴まれた。
「俺、本気ですよ?」
こんなに真剣な表情のホークスはあまり見たことがない。
不覚にもドキッとしてしまった。
「霞さんが本気で欲しい。」
そんな目で見ないでほしい。
何か勘違いしそうになるじゃないか……。
掴まれたままの腕がじんわりと熱い。
「……わかった。」
私の返事を聞いて、霞サン……!っとホークスの顔がパアと明るくなったように見えたが、さらに私は続けた。
「とりあえず、チームアップで手を打たない!?
夏休み中なら何とか日数確保するし、あんまり長期はできないけど私の個性なら移動は何とでもなるし……」
どう!?!?掴まれたホークスの腕を掴み返し、真剣に伝えた。
真面目な話には真剣に向き合わなければいけない。