第14章 折れない意志
「私も、副担任として爆豪くんをみてきましたが、彼はヒーロー科の誰よりも強い信念を持ち行動しています。
敵にそそのかされたくらいで彼の信念は曲がらない、私はそう信じています。
目の前で攫われてしまい、助けられなかった。
このことに関しては私の責任です。
爆豪くんのご家族をはじめ、被害にあった生徒たちのご家族の皆様に、多大なるご心配とご迷惑をお掛けしたこと、お詫び申し上げます。
大変、申し訳ございませんでした。」
深々と頭を下げてから、続けた。
「私は高校生の時に、敵の暴走により発生した建物崩壊によって兄を亡くしています。」
会場がザワザワしてカメラのフラッシュが一斉に私の方へ向けられ、まばゆい光を放っている。
「家族を失う恐ろしさを私は知っています。
それなのに今回、力及ばず全員を救うことができなかった。ヒーローとしても教師としても失格です。
……しかし、まだ助けられる。
生きてさえいてくれれば何度でも、私は彼を救うために行動します。
私も私たち教師も彼は未来のトップヒーローになると信じています。彼は敵には屈しません。絶対に。」
言いたい事は言った。
今朝、オールマイトが“私の想いを引き継ぐ”と言ってくれた。
おそらくだが救出作戦が始動しているはず。
内通者の存在を示唆して雄英の教師には知らされていないか、あるいは校長にのみ話がいっているのか。
今、私にできることはテレビを通して爆豪くんを勇気付けること。
死柄木の性格上、必ず笑いながらこの会見の映像を見ているはずだ。
「つまり具体的な策は何もないと言う事ですか!?」
あっても言えないんだよ!
と心の中で悪態をつき、席に座る。
質問を続ける記者以外はシーンとしている。
沈黙を破り、校長が続けた。
「我々も手をこまねいてる訳ではありません。
現在警察と共に調査を続けております。
我が校の生徒は必ず取り戻します。」