第14章 折れない意志
記者会見会場へと移動する。
学校に張り付いていたマスコミを引き剥がしながら車に乗り込んだ。
消太くんもブラド先生も校長も
とても明るくいられる雰囲気ではないが、みんな覚悟は決まっている顔をしている。
我が校の校訓は Puls ultra 。
この校訓は教師にとってもまた然りだ。
壁を越え、更に向こうへ。
「この度、我々の不備から
ヒーロー科一年生27名に被害が及んでしまった事、ヒーロー育成の場でありながら敵意への防衛を怠り社会へ不安を与えた事、謹んでお詫び申し上げます。まことに申し訳ございませんでした。」
会見が始まり、消太くんが陳謝する。
私たちも合わせて頭を下げる。
消太くんは髭も髪も整え、スーツ姿で凛と質問に答えている。
私はグレーのパンツスーツで髪を後ろでピシッとまとめた。
「未来を侵される事が“最悪”だと考えております。」
「攫われた爆豪くんについても同じことが言えますか?
未来があると言い切れる根拠をお聞かせ下さい。」
校長や消太くんが質問に答えを返す。
その度に揚げ足を取るように挑発してくる。
消太くんより先に私がキレそうだ。
「彼は誰よりトップヒーローを追い求めもがいている。
あれを見て“隙”と捉えたのなら敵は浅はかであると、私は考えます。」
まったくその通りだ。
爆豪くんは誰よりもトップヒーローを目指しているのだ。
ちょっと行動や発言が粗暴なだけだ。
消太くんは本当にちゃんと生徒を見ている、いい先生だ。
この場で大きな声で宣言したい。
そんなこと許されないが……。
「クラウディアさん。
目の前で爆豪くんを攫われたそうですが、ご家族の前でも同じような感情論を言えますか!?」
「……彼女は生徒たちを救うべく飛び回っておりました。現に彼女がほとんどの生徒たちを救出しました。」
消太くんが段々と怖い顔になってきて、ブラド先生が落ち着け!と目で訴えている。
「今は爆豪くんについてを伺っています。」
記者は続ける。
私は立ち上がり、ひとつ呼吸を置き話し出した。