第12章 いざ合宿
「しかし、こんなにパパッと美味いもん作れて凄いな、クラウディア。
いい嫁になるなぁ!なぁ、イレイザー!」
「……ああ」
「もう、ブラド先生やめて下さいよ〜。
褒めてもデザートはプリンしか出ませんよ?」
「「デザートもあるのかよ」」
消太くんとブラド先生の声が揃い、思わず笑ってしまった。
ピクシーボブはいい嫁になるという言葉に反応して、今度料理教えて!!!と迫ってきた。
するとマンダレイから個性のテレパスで通信が入った。
『A組の性欲の権化くん。
やっぱりやらかしたわよ〜。』
ハァ……
教師陣は溜め息をつく。
「叱りつけてくる。」
消太くんは気怠そうに風呂場に向かって行った。
そして風呂場の見張りをしてくれていたマンダレイの従甥、洸太くんが塀から落ちてしまい緑谷くんが運んできてくれたらしい。
私とピクシーボブも様子を見に行った。
「マンダレイのいとこ……
洸太の両親ね、ヒーローだったけど
殉職しちゃったんだよ」
ピクシーボブが緑谷くんに事情を説明した。
私もウォーターホースの事件は知っていた。
同じ家族を失った者同士、
何か力になってあげられればと思うが、
気持ちがわかるからこそ赤の他人の言葉は響かないということをよくわかっていた。
気を失っている洸太くんを見つめる。
「洸太にとってヒーローは
理解できない気持ち悪い人種なんだよ」
マンダレイの言葉がずっしりと響く。
兄を失って尚ヒーローを続けている私は洸太くんにとって一番気持ち悪い存在に違いない。
緑谷くんも何も言わなかった。
「……緑谷くん。
服着ておいで。風邪引くよ?」