第10章 導く人
翌日、消太くんから心操くんに渡された
体力強化のメニューを見てびっくり・・!
「ハ、ハードすぎない・・?」
「これくらいこなしてもらわないとな。」
びっしりと筋トレメニューが書かれている。
消太くんも高校時代はこのメニューを
一人でこなしていたのかと思うと胸が痛い。
そりゃ、寝袋持参してまで睡眠とるよな~。
考えていたことを読まれたのか、
消太くんは私をチラリとみて呟いた。
「ちなみに俺はこの倍をこなしてた。
最初から飛ばしすぎても効率が悪い。
まずは地道に一つ一つ積み上げていくしかない。」
「はい。」
心操くんはメニューの紙を握りしめて力強く笑った。
こういう時に笑える子は、強くなる。
「よし、早速始めよう!
まずは準備運動だね!!!」
私は屈伸運動をしてから手首足首を回す。
「んで?お前は何で運動着なんだよ。」
「え?何でって、私も付き合うから。」
消太くんはいつもの真っ黒なヒーロー服もとい普段着。
普段は首に巻かれている捕縛布は今は外されていて首元が涼しそうだ。
私は持参したジャージに着替えている。
ランニングや筋トレをするのに
ヒーロー服は向いていないからだ。
「最近、こうやって鍛えてないから丁度よかった!」
「心操より先にへばったら恥ずかしいぞ。」
「一応プロヒーローなんでね。
まだまだ負けないわよ、心操くん!始めよう!」
しっかりと準備運動をしてから
私と心操くんは走り出した。
「うわ~~、思ったよりキツかった!」
今日は絶対ビールが美味しいと思う。
私は息を整えながらスポーツドリンクに口を付ける。
心操くんはもう立ち上がれないようで
地面に寝転んで天を仰いで肩で息をしていた。
「ま、初日はこんなもんだな。
明日はランニングだけでいい。
筋トレは一日置き。
一週間ごとに回数を増やしていくぞ。」
「もうすぐ期末テストもあるもんね。
勉強との両立も大事だよ!」
「はい、ありがとうございました…」
まだ立ち上がれないままの
心操くんの横にスポーツドリンクを置いた。