第9章 人知れず育つ
さかのぼる事、数十分前。
今日は金曜日。いわゆる華金。
俺は休日を有意義に過ごしたいので
華金だからと飲みに行ったりしない。
「ヘイ、マイフレンド!
今日、三猿行こうぜ!!!
ヒアウィーゴー!!!」
「断る」
同期のうるさい男、プレゼントマイク。
余計な事しか言わないし
余計な事しかしない。
不合理の極み的な男。
「なんか今失礼な事考えたろ!
イッツハートアウト!心外!!!」
「意味がわからん」
「いいじゃない。相澤くん。
たまには飲みに行きましょうよ!」
ミッドナイトも加わってきた。
なんなんだ、今日は。
「オレ、奢っちゃう!
奢っちゃうからさ!行こうぜ!」
「奢りなら行くしかないわよ!
相澤くん!!!」
「行かん。俺は帰る。」
と、散々拒否したのに
いつもよりしつこく誘ってきた。
マイクとミッドナイトが中々折れない。
本当なんだっていうんだ。
半ば引きづられながら
三猿に連行された。
ガラガラガラ
「よーう、大将!!!
ワッツアップ!?!?」
マイクが大声で店の扉を開けると
中から聞き覚えのある声が聞こえた。
「あれ、ひざしくん?」
マイクに掴まれていた腕を
振り解き、中を覗くと
霞がいた。
霞の向かいの席には
真っ赤な羽根を背中に生やした
No.3の大人気ヒーロー、ホークスが座っていた。