第9章 人知れず育つ
私は食堂を出て廊下を通り中庭に出た。
生徒もいないので、木が風に揺られる音がよく聞こえる。
等間隔に並んでいるベンチの一番手前に腰掛け
先日マッスルレディから預かった一枚の紙を取り出し、
携帯に番号を打ち込んだ。
プルルルル・・・ 呼び出し音がかかる。
『もしもーし』
「あ、ホークス?クラウディアです!
電話遅くなってごめんね~。」
『霞サン!お久しぶり~。
元気でやってます?』
「うん、元気元気。」
『俺、来週そっち行くんです。
飯でもどうかな~って。』
来週か・・
今日の事務処理が終われば
そこまで忙しいってこともないだろう。
「うん、行こう!あ、でもまだね
雄英近辺のお店とか全然わからなくて
バタバタしてたから飲みにも行けなくて・・
一軒しか店知らないんだけど、いい?」
『俺はどこでも構いませんよ。』
「じゃあ、そのお店連れて行くね!
雄英教師陣、御用達なんだって!」
『そしたら金曜日、迎え行きますんで。』
「え!?学校にホークス来たら大騒ぎになっちゃう!
とりあえず駅の屋上に集合で!」
ハハハっとホークスから笑い声が聞こえ
じゃあ、また来週の金曜ねー!と電話を切った。
そろそろ休憩時間も終わりに近い
一度、食堂に戻ると
なぜかひざしくんとミッドナイトに汗が滲んでいる。
「いや~~暑いわね!最近は!!」
「ああ、ホットすぎて逆にコールドだぜ、オレ!」
ん?轟くんの話?
疑問に思いながらも職員室に戻り、作業を進めた。