第9章 人知れず育つ
「オールマイト、残りまだですか?」
私が振り分けた分は終わったのだろうか、
消太くんがオールマイトに声をかけた。
「ああ、ごめん!相澤くん。もう少し待って。」
どうやらオールマイトは事務仕事は苦手らしい。
まあ、そんな感じだ。
消太くんにギロッと見られビクッと縮こまっている。
「オールマイト、手伝いましょうか?」
オールマイトが一瞬、物凄く目を輝かせこちらを見たが
隣の消太くんから無慈悲な声が聞こえた。
「お前は次コレ。
爆豪と轟のリスト化頼む。」
オールマイトがガックリと肩を落とし、
自身の作業に戻った。
私は手渡されたリスト化の下書きを見て
飛び上がりそうになった。
「え!?二人だけで約8000件!?」
「例年もっとバラけるんだがな。
今年は二人にまとまったから事務処理は楽だな。」
消太くんがシレッと言った。
こ、この約8000件を処理しろと・・?
上等だ、やってやんよ!!!
フンッと力を入れてパソコンに向かう。
カタカタカタカタと真剣に打ち込む。
授業もないのでひたすらに事務作業だが、
さすが、みんなプロヒーロー。
文句ひとつ言わず、集中して作業をこなす。
しかし、中には事務作業に飽きている先生もいて
明日のオレはきっとやれるはずだぜ~!!と
早々に作業を終わりにしているひざしくんに
パソコンばっかり見てると肩が凝っちゃうわ~ん
と、無駄に色気を振りまいてるミッドナイト
オールマイトはガリガリな頬が
さらにやつれたようにも見える。
「もう少しでお昼休みですから!
頑張りましょう、オールマイト!!」
私はこっそりとオールマイトに声をかけた。