第1章 case*1 リヴァイ·アッカーマン
「おいおいおい…」
緊張感のない声とガラスを踏む音がベランダから聞こえる。
「随分だなこりゃ…」
窓ガラスを素手で割り鍵に手を伸ばし、窓を開ける。
ガラスで切れた腕の血を舐めとりながらリヴァイがベランダから足を踏み入れた。
「君は誰?僕達の邪魔をしないでくれないか」
男はリヴァイに構わずの胸に顔を押し付けようと近付ける、はギュッと目を閉じた。
しかし肌に触れる気配はない。
恐る恐る目を開ければ男のこめかみを片手で掴みあげるリヴァイがいた。
『……え』
骨の軋む音と男のうめき声がする。
リヴァイはを見下す。
「今ここでこいつにヤラれるか、俺の血を舐めるか、選べ」
は要領の得ない質問に即答した。
『血を…舐める…』
「口を開けろ」
訳も分からず言われる通りに口を開けるとリヴァイの腕から滴る血は舌の上に数滴落ち、ゆっくりと喉を通る。
「契約成立だ」
『………?』
アッカーマンは男のこめかみを掴んだまま引き摺りながら玄関を出て行く。
は上体を起こしその光景を呆けて眺めていた。
男の悲鳴は一瞬だけ響き渡るも、まるで何かに吸い込まれたかの様に辺りは静寂を取り戻した。