第2章 case*2 三日月 宗近 へし切り長谷部
―主、主…
(三日月さんの声…、頬を撫でる優しい手……、夢ならどうか、どうか覚めないで…)
頬を撫でていた手は首元を滑り、寝間着のボタンをひとつ…またひとつと…夢にしてはあまりにも現実的な感触を感じていた。
『…?』
が瞼をもたげると目の前には折れたはずの三日月がいる。
『三日月…さん?』
「おぉ…主、目を覚ましたか」
『…どうして?』
は枕元へ置いた箱を確認すると、刀身は姿を消していた。
そんなを余所にボタンは全て外され、なめらかな肌と胸を露わにさせていた。
『ッ…』
咄嗟に両腕で隠すもやんわりと外され三日月の左手によって両手首は頭上で縫い付けられた。
『あ、あの三日月さん?』
「隠さず、主の全てを俺に…」
妖しく揺れる真紅の瞳に吸い込まれてしまいそうになるは、帰りを待ち望んだ相手が目の前にいる事実にどこか夢現のような気分だった。
露わになったふくらみを輪郭をなぞる様に舌が這う。
このような行為に経験のないは舌触りに身を捩らせ、耐えられず吐息を漏らす。
羞恥に瞼をギュっと閉じた。
「甘い…なんと甘い香り…」
『……んっ』
鎖骨を舐めあげ首元へ耳裏へと三日月の舌と温かな吐息を感じる。
下顎を這いキュッと結ばれたの唇を濡らす。