第2章 case*2 三日月 宗近 へし切り長谷部
長谷部は資源の在庫を確認していた。
有り余る程に貯まり続ける。
しかし鍛刀を勧める事は出来なかった。
特に厳しい遠征先ではなかった。
短刀達は遠足気分と言える位に気楽なものの、筈だった。
不遇…不運…
起こるはずのない場所に時空の歪みは発生した。
突如現れた時間遡行軍に隊は襲われた。
そして仲間を庇い逃すために一刀の美しき刀は散った。
手元に戻った手折られた刀を前には崩れ落ちる。
見ていられるものではなかった。
それからと言うもの資源が枯渇するまで鍛刀を続けた。
巫女であるは大麻を振り祈祷を捧げる事で鍛刀の儀を行う。
精神力を必要とし心身共に擦り減らしながら…
しかし望む一刀がの元へは現れる事はなかった…。
「……何故戻らない」
長谷部は小さく息を吐いた。