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白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第4章 白い道【2】


船に乗ってから、毎朝日の出の時刻に目が覚めるようになった。



『……っ、寒い、、』



だがこの日、あまりの寒さに目が覚め、眠れなかった。
仕方なく生暖かい布団から起き出し、ローから買ってもらったコートを羽織り、キッチンへ向かう。

キッチンでジンジャーティーを淹れ、朝食のスープを作る。
寒いからこれにも少し生姜を刷って入れよう。

今までこんなに寒いと思ったことはない。
グランドラインの冬島でもこんなに寒くはなかった。

モコモコのコートを握りしめ、本当にローから買ってもらって良かったと思う。







ーガチャ








「今日はまた随分と早いな。」






私と比べてかなり薄着のローがキッチンへ入ってきた。





『寒くて目が覚めて、眠れなくなっちゃった。
ジンジャーティーあるけど、飲む?』

「いや、コーヒーあるか?」

『えぇ。待ってて。』





私はローにコーヒーを淹れ、ローの座るソファの横のサイドテーブルに置いた。




「悪いな。」

『ううん。』




今朝は早く起きたので朝食の準備にも余裕がある。
少し、ローと話してみることにした。




『いつも読んでるその本達って、医学書?』

「あぁ。…読むか?」



ローは山になっていた本の一冊を取り出し、私に手渡す。
パラパラとページを繰り、中を見てみるがよくわからない記号や聴き慣れない単語が多くて訳がわからない。



『…私には難しいみたい。』



そう言ってすぐに本を返した。




「海の知識はどうやって学んだ。鷹の目が教えたのか。」

『いいえ。おじさまとは実践がメイン。基礎的な知識はおじさまの持ち帰る本で学んで、それを使って実際におじさまとの航海でやってみるの。そこで初めておじさまが指導してくれる。
その繰り返しだった。』



あの頃は必死だった。
手を抜けばすぐに船は傾く。
おじさまはよっぽどのことがない限り手を貸してくれないし、あくまで【指導】。
剣術以外を教授することはなかった。



「手厳しいな。」

『確かに、今思えばそうね。でもあの頃はそれが楽しかった。』




上手く出来たからと言って、優しい言葉をかけてくれることはないけれど、黙って頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。
あの大きな手が好きだった。
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