第9章 ウォーターセブンへの航路
『あ、そうだ。
私の本題はね、、』
【なんだ?】
『海賊との一戦で、私たちは多くの戦利品を得たの。
大量の宝やお金はもちろん、空島のダイアルもたくさんあったわ。
そしてその中にね、ウォーターセブンのエターナルポースがあった。』
【!、本当か!】
『ええ。
ローもそれを見て、船の進路をウォーターセブンに向けると言っていたわ。』
【そうか…】
おじさまの真似をした電伝虫は目を見開き、そしてゆっくりと目を伏せた。
『…おじさま。
私本当に恵まれてる。
怖くなっちゃうほどに…』
【…】
『…それにね、おじさま。
私、、、最近胸がキュッって苦しくなるの。』
【病のせい、か?】
『ううん、多分そうじゃない。
苦しいけど、嫌じゃない。なんだか上手く言えないけど、、、心臓が躍るように跳ねて、感情が昂るの。
そしてそれが何故か嬉しいと思ってしまう…』
【…?】
『今までに感じたことのない感情。
…だから、わたしにも上手く説明できなくて、、、
ねぇ、おじさま。
この感情は、何?』
おじさまになら、わかる?
そう聞くと、おじさまは沈黙してしまう。
部屋の中には外から聞こえる微かな波の音、それから受話器から聞こえる小さなヒヒの鳴き声。
【…俺にはその感情、分かりかねるが、呑まれることはするな。】
『うん…わかった。』
剣士として常に冷静であり、一歩引いて自身を見つめなければならないのもわかっている。
さらに、おじさまには『わかった』と、、、そう口ではいうものの…
どうしてだろう。
私は、この感情に呑まれてみたい。
自分から飛び込んでみたい。
そして、光も見えないくらい深いところまで行って、体内全てをこれで満たして溺れてみたい。
そう思うのは、私がまだ未熟だからなのだろうか。