第4章 白い道【2】
食べ進めながらローが口を開く。
「全員、今日は一枚多めに羽織って寝ろよ。」
「はーい。」
「俺はそのままでいいよね。」
「あぁ。」
「あ〜冬島!楽しみだなぁ。」
「お前はいいよな〜毛皮あって。俺は寒いの嫌いだから冬島なんか行きたくねぇ。
あ!そうだ、ベポ、毛皮脱いで貸してくれよ!」
「脱げないよ!!」
『…ペンギンなのに寒いの嫌いなの?』
名前がペンギンにシャチ、それにもう1人は白熊、ローは、、、まぁ別として、みんなかなり冬が好きそうな感じがするが、ペンギンはむしろ苦手らしい。
好奇心に負けた。つい突っ込みたくなってしまった。
「俺はコウテイペンギンとは違うんだ。俺はガラパゴスペンギンのように暖かい場所を好むペンギンだ。」
『…そうなんだ。』
お酒が入っているからだろう。
真顔でそんな風に答えられて驚いた。
『詳しいね、ペンギンの種類。』
「そりゃ、名前にペンギンついてるのに知らねぇのはおかしいだろ。」
『そういうものなの?』
「あぁ。そうだ。シャチもシャチのことなら詳しいぜ。」
『へ、へぇ。』
私は考えるのをやめて、鯖を突いた。
ローは今晩もいつものように鎮痛剤を持ってきた。
薬を打って、効くまでの5分間、いつもローはここに居て、他愛もない話をしてくれる。
この時間は、いつのまにか私たちが2人で落ち着いて話せる時間になっていて、私は結構好きだ。
「今日は付き合わせて悪かったな。」
『そんなことない。私も久しぶりに高揚した。楽しかったもの。』
「それなら良かった。俺もかなり滾った。
…左腕、見せろ。」
『?はい。』
注射を打った右腕をしまい、左腕を差し出す。
「覇気使うとアザにもならねぇのか。」
『あぁ、今日の、、、えぇ、覇気が相手より上回っていればダメージは無いわ。』
「そうか。ならいい。」
ローはそう言って私の左腕から手を離し、ドアへ向かう。
「雪を見たことがないんだったな。」
『えぇ。』
「それなら、明日はとにかく厚着をしておけ。後で後悔したくないならな。」
ローはそう言って部屋を出て行った。
雪、ねぇ、、、
私は昔読んだ本に描かれていた幻想的な景色を思い浮かべながら、静かに目を閉じた。