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白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第4章 白い道【2】


『でも、』


ローがカラの腕から針を抜き、テープを貼る。


『ローはそんな感じが全くしない。
だから、ローが本気を出したら私は勝てないかもしれないって思うの。』


ローはそのまま視線をカラに向ける。



『ローは、この海に来る前に、そんなに強い敵と対峙したの?』




ベポが言っていた。
彼が負けるのは見たことがないと。

でも、ローの口から語られるのは自分の力なんてたかが知れている、と言うような、海賊にしてはかなり謙虚な言葉達。




「お前は、海賊達を相手に回して負けたことはあるか。」

『…無いわ。』




おじさまとの暇つぶしの時、おじさまは手頃な海賊を見つけては私に闘ってみろ、と言う。
人を殺したことは無いが、船ごと斬って沈める。
ボートで脱出するのを横目で見ながら、おじさまは私の刀の刃こぼれや船の切り口、身体の動きを確認して修正してくれる。
相手が能力者の場合、覇気を使って戦って、戦闘不能になった所で手を引く。
その繰り返しだ。



「それなら、鷹の目に勝てると思ったことは。」

『…1度も無いわ。』



おじさまは昔、私が覇気を使えるようになった日に言った。

「いつでも斬りかかってこい。俺に一太刀でも当てられたら合格だ。」

私は食事中を除いて、寝ている隙や、ワイン片手に新聞を読んでいる時、暇つぶしの船の上、、、何度も斬りかかった。それも真剣で。
それでも結局1度も当てられなかったし、途中からはもう挑むのも辞め、自分の剣をひたすら磨いていた。



「俺にもそんな奴が周りにいた。そいつらが強すぎて、自分では到底及ばないことはガキだった俺でもわかった。
そいつらの強さを知っている以上、お前が会ってきた、能力一つで過信するようなバカどものような真似はしない。
それだけだ。」



確かに、今例え何か能力を手にしたとしても、おじさまに勝てると思い上がるほど私はバカでは無い。
それを自覚すると、とんでも無く失礼なことをローに言ったことに気がついた。



『…失礼なことを言ったわね。ごめんなさい。』

「いや、構わねぇ。…もう五分経っただろう。もう寝ろ。明日の手合わせ、楽しみにしている。」

『ありがとう。私も楽しみにしてるわ。おやすみなさい、ロー。』

「あぁ。」




そう言って、ローはそのまま部屋を出た。
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