第4章 白い道【2】
ーーー翌日
カラはいつものように日の出の時刻に起き出し、看板で光の道を眺めて、キッチンへ戻る。
今日は出航の日。
ローのリクエスト、というのもあるが、午前中はバタバタするだろう、ということもあり、朝食はおにぎりだ。
具材はおかか、鮭、昆布、梅干し、明太子、、、と、普通のラインナップ。
パッパと作り終えて、出航の準備に取り掛からなければ。
ガチャ
「はよ、カラ。」
「「おはよ〜」」
『おはよう、みんな。』
ローが3人を起こしてきたようだ。
みんなまだ眠そうだけど、ちゃんと着替えているし、ベポもログポースと海図など、手に持っているものを見ると、頭はしっかり働いているらしい。
「先に船を出す。飯は進みながら食うぞ。」
「アイア〜イ」
いつもより気合の入らない返事をして、それぞれ持ち場に向かう。
ロープを引いて、帆を貼って、風を読んで、、、いそいそと、それでいて淡々と問題なく準備を進めていった。
と、、、
「…キャプテン!まずい!!海軍だ!!!」
見張りに着いていたペンギンが緊迫した様子で岸を指差す。
そこには大佐らしき人物を中心に銃やら剣やらを携えた海軍たち。
「チッ、錨を上げろ。ズラかるぞ。」
「アイアイ!」
ベポがどんどん錨を上げていく。
しかし、海軍は今にも発砲しそうだ。
私は船を守るため、刀に手をかけた。
すると、その時ーーー
「カラは部屋に入ってろ。」
『え?』
「…お前は戦うな、と。そう言っている。」
どうして?
私は戦力としてここにいるのではないのか。
私は驚きのあまり、口が動かなかった。
ローは真剣な顔をして、私に続けて言う。
「あれくらいなら俺だけで十分だ。お前の手を借りるまでもない。」
『…わかった。』
正直、今のローと大佐なら、互角程ではないかと思う。
ローの能力の相性次第かもしれないが、こんな入り口の島に大佐がいるなんて、、、少しだけ驚いた。
でも、確かに、私たちは彼らに勝とうとしてる訳じゃない。
もう錨も上げ、出航準備は出来てる。
大佐クラスなら軍艦は引っ張ってこない。
なら、この試合、逃げるが勝ちだ。