• テキストサイズ

白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第4章 白い道【2】


そのまま晩ご飯にしてしまおうと言うことになり、食卓に着く。

今日はローのリクエスト通り、鯵の塩焼きがメインだ。



「予定通り、明日の朝に出航する。補給は十分できたな?」

「アイアイ!ちゃんとチェスも買ってきた!」

「…他のもちゃんと補給したんだろうな。」

「もちろん!」

「ならいい。今日は全員、早く寝ろ。」

「「「はーい」」」




みんなで食器を片付けるとそれぞれの部屋へ向かう。
私も部屋に戻り、束ねていた髪を下ろした。
髪紐をいつもの場所にかけ、その隣に置いてあった袋を手に取る。

丁度その時、部屋がノックされる。



「俺だ。入るぞ。」

『どうぞ。』



ローだ。
手には昨日と同じ銀のトレー。
上に乗っているのは注射器と薬の入ったガラスの入れ物。



私は上着の袖を巻くってローの前に差し出す。

ローは何も言わずに私の腕を消毒し、慣れた手つきで針を刺す。

昨日のように管の中の液体が少なくなっていくのを2人で黙って見ていた。



針を抜いてテープを貼ると、ローは口を開いた。



「次の島はドラム王国と言うらしい。聞いたことはあるか。」

『いえ、無いわ。』

「俺たちの業界では有名な島だ。」



海賊の島、と言うことか。
私は記憶を辿る。



「そこは医療大国と呼ばれている国だ。」


















医療、大国、
















俺たちの業界、、、医者の業界、ということ、





「安心しろ。お前は船に居ればいい。何も医者に診せにいく訳じゃねぇ。」




えぇ。私も行きたくない。
船で待っていたい。
私にはローがいるもの。
ローが診てくれるのに、他の医者になんて診て欲しくもない。
私が信頼している医者はローだけなの。

そう言いたいのに、喉が詰まって声が出ない。





「だが、仮にも医療大国だ。珀鉛病の資料や貴重な論文はあるかもしれねぇ。盗んでくるからお前はここで待ってろ。」






『うん。』






ようやく絞り出した声は少し震えていたが、ふと、目を向けるとローと目があった。

その顔からはとても強い意思が感じられた。





本当に不思議。



その表情を見るだけで、私はひどく安心する。

大丈夫だ、と。そう思える。

私はローに笑顔で『ありがとう』と、そう呟いた。
/ 291ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp