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白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第1章 白の呪縛


すぐに隣国の一際大きな病院へ駆け込んだ

その医者は穏やかな医者だったが、それと同時に優秀は医者だった

俺がその子供を診せるとすぐに治療を始め、素人から見ても鮮やかな手つきだと分かった



そういえば…あの部屋には子供が居たな…

あの医者の子供なんだろう
どこか面影があった
医者の子供とは小さい頃から医者なのか、と、ぼんやりと考えたのを覚えている



手術を終えるとその医者は俺に言った



「もう大丈夫です。」



柄にもなく、ほっとして力が抜けた

今まで幾人もの命を奪ってきた

無駄な殺戮をしてきたわけではないが、純粋に人を救う医者を見ると、なんとも言えない感情が湧き上がってくる



「そうか。
…世話になった。」

「あの、一つ、聞いてもよろしいでしょうか。」



その医者は少し、言いづらそうに口を開いた




「なんだ。」

「あの傷はかなり深かった。正直、此処でなければあの子は助からなかった。あの傷は、一体、、、」

「…海賊だ。」

「え?」

「海賊がその子供の母親ごと子供を殺そうとした。
母親は先程事切れたが、子供だけまだ息があったので連れてきた。」

「…そう、ですか、、、」



それ以上、その医者は何も聞いてこなかった

あまりにその表情が暗く居心地が悪かったので適当に話題を変えた




「…此処に来る前、隣国の医者に診せたが無理だと言われた。
お前も此処でなければ死んでいたかもしれない、と言っていたな。この国はそんなに医療に長けた国なのか?」

「確かに、隣国より発展しているのは確かですが、この国の大きな特徴は、珀鉛という鉛です。」

「珀鉛?」

「はい。この国の土壌に沢山含まれていて、花も草も建物も、この国のものは全て真っ白なんです。加工もしやすく美しいため、この国の一大産業となっています。」

「ほぅ、確かに、聞いたことはあったが、本当に存在していたとは。ここが白い町、フレバンス、か。」

「そうです。あの子の傷を縫った糸も、この地で自生した植物の繊維を濃縮して依って作っています。恐らく世界で一番細いもので、抜糸の心配も要りません。」

「…ほう、大したものだな、珀鉛というのは。」

「ええ、本当に。
…お大事になさってください。」



俺は適当に手持ちの金を置いて船へと戻った
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