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白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第1章 白の呪縛


女は俺の風貌など気にも留めないように声を絞り出す





「こ、の、、、こ、は、、ド、フラ、、ミン、ゴの、こ、」





その言葉に目を見開くことしかできなかった

あの男は自らの子とその母親を殺すためにここまで来たのかという違和感が胸を燻ったのを覚えている
自ら成した命がわざわざグランドラインから帰ってくるほど、目障りになったのか、と






「そ、れ、、、で、も、、、この、こ、に、つ、、、、み、は、、ない!」

「…」

「っゴフッゴフッ」






女が大量の血を吐き、そう言葉を紡いだので我に帰る

…話せていることの方が不思議なほどの傷だ

気がつくと俺は服が血に濡れることも気にならず、女の側に膝をつき、その言葉に耳を傾けていた






「おねが、い、、、この、こ、を、、、カラ、を、たすけて、」






女は俺に向けて、抱えていた子供を差し出した
目がもう見えていないのだろう、俺とその女の目は合わなかった

俺は何も言わずにその子供を静かに受け取った
いや、何も言葉が出なかったと言った方が正しいか…


女は自分の手から子が離れると目から大粒の涙を流した





「あり、が、と、、、、
わ、たし、の、、た、から、、、、、どうか、、、どう、か…」

「…」

「…」





その言葉を最後に、女は事切れた

俺の主観でしかないが、その顔は笑顔だったように思える






俺は腕の中の子供の傷を見た

母親が庇ったのだろう
まだ息はあったが、こちらも危険な状態だった

俺は医者を探した




病院を見つけ、医者にその子供を診せた

その医者は自分には無理だと言った

子供の血管や器官は小さすぎて、自分の力量では逆に危険な目に合わせてしまう、と



そんな合間にも、腕の中の存在は、確実に少しずつ生命をすり減らしていた



なんとかならないかと、問い詰めた

その医者は、隣国はこの国よりも優れた技術を持っている、といった




俺はその言葉を聞くなり、隣の国へ走った

雨の中、なるべく子供を濡らさぬように、負担のかからないように、慎重に、そして急いだ

何故こんなにも必死になっているのか、自分でもわからなかった
何も知らぬ子のために俺は何をしているのかと

これまで多くの命を摘み取ってきたが、どうにもこの時はただ、必死だった
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