第4章 白い道【2】
とりあえず買っておけとは言われたものの、、、
『…暑そう。』
今まで着たことが無いくらいの分厚い生地のコート達。
寒さを凌ぐためにこんなにも分厚いものを着るのか?
「アイツらの分も買っておかねぇとな。」
ローは自分のコートはさっさと選んでしまったようで、仲間たちの分を選んでいる。
『…ロー、これどう?お揃いで良くない?』
ふと目についた白いツナギ。
暖かそうだし、いつも仲のいい3人がお揃いで着ているのを想像して少し笑みを浮かべた。
「それにするか。だが、、、ベポには小さいな。」
『こっちにサイズ違いのあるよ。オレンジだけど。』
「十分だろ。」
ローはさっさと選んで購入を決めていく。
そんなに簡単に決めていいのか???
「なんだ。」
『いや、買い物早いな〜と、』
「目的を果たせれば大した拘りはないからな。
お前はもう決めたのか。」
『いや、、、』
正直、まだ必要性を感じられない。
とにかく暑そう。
それに尽きる。
「早くしろ。」
ローに急かされ、慌てて手に取ったのはもふもふした黒いコート。
今着ているのと違うところといえば、生地の厚さとフードの有無くらいだ。
ローに付いていくと、視界の端にペンギン(動物)が見えた。
『ロー!ロー!見て!!』
「あ?」
そこに並んでいたのはペンギンの人形が乗った帽子。
そしてペンギンという文字付き。
隣にはシャチの形を模した帽子もある。
『かわいい!!』
「んなもんいるか。」
『いいじゃん!買って帰ろうよ!絶対喜ぶから!』
「…要らねぇ。」
『ローだって帽子被ってるじゃん。』
「コレはガキの頃からのやつだ。自分で買った訳じゃねぇ。」
『ふーん。でもでも!こんな帽子中々売ってないし、、
…じゃあわかった!私が買うからいいよ!』
「…ハァ、、、もういい。貸せ。」
ローはコート類と帽子を持って会計をしに行った。
いつの間にか私が手に持っていた黒いコートまでローが持って行っていた。
『自分のくらいは自分で払うのに。』
「…例えお前がクルーで無くても、俺の船に乗る以上、お前に起こりうる全ては俺の責任だ。
お前は自分の与えられた仕事をこなせ。
それだけでいい。」
ローは荷物を全て持って船へと戻っていく。
私はその大きな背中を追った。