第3章 白い道
「俺がお前くらいの時にはもう飲んでた。」
『え!?』
「お前は飲んだことないのか。」
『ないよ!ないない!!』
「まじかよカラ〜。この旨さをまだ知らないなんて、、、可哀想に!」
『ウイスキーをストレートで飲む人も初めて見た。』
「鷹の目は酒飲まなかったの?」
『いや、おじさまはワインしか飲まないから、、、ウイスキーもそんなに見たことない。』
私はずっとおじさまと一緒に暮らしてきた。
おじさま以外の人と関わることも無かったから、私の中での普通はおじさまとの生活が基準。
お酒の種類とかはおじさまが買ってきてくれる本で学んだ。
確かに、ローたちの言うように、それが普通なのかもしれない。
私の方が経験は少ないし、私を基準にするのが間違ってる。
「鷹の目はお前に飲ませたりはしなかったのか。」
『うん。そんなに若い頃から飲むものじゃないって言われてたから。若い頃から飲んでいたら体を壊すって。それなりの時期になったら教えてくれるって言ってた。』
「…鷹の目って随分過保護だな。」
「それな。思ってたのと違うよな。」
『おじさまは優しいよ?私的にはみんながなんであんなに怯えてるのか分かんないくらい。
それよりさ、私くらいの歳から飲んでたって、ローたちは体壊さないの?』
「確かにガキの頃から飲んでたらヤベェが、16ならもう体の機能は大人と大して変わらねぇ。それに、アルコールは飲める奴と飲めねぇ奴がハッキリ分かれる。飲めねぇ奴はいくら訓練しても飲めねぇし、元々強い奴は強い。」
『へぇ、なんで?』
「アルコールの分解物を更に分解する酵素があるかないかの差だ。」
『私、飲めるかな。』
「飲んでみればわかる。」
そう言って渡されたのはグラスに入った琥珀色の液体。
少しだからこれくらい大丈夫だろうか。
私がそれに口をつけたその時。
「いやいや!ストップ!カラ!!」
「何考えてんのキャプテン!」
「最初っからストレートで飲ますか!?」
ペンギンが私のグラスを奪い取り、その中にダバダバと炭酸水を注いだ。
あれがおそらくハイボールという飲み物。
「俺が初めて飲まされたのはウォッカだ。別に少し口つけるだけじゃねぇか。何も全部飲めと言ってる訳じゃねぇ。」
…口つけるだけだったのか。
飲むつもりでいた。