第3章 白い道
コンコンーガチャ
「キャプテンただいま〜」
「…ノックしたなら返事するまで待てよ。」
「今更じゃん。シャチならノックすらしねーよ?」
する、しないの話じゃねぇ。
ノックしても返事する前に開けたら意味ねぇだろ。
「お前ら酒飲んで帰らなかったのか。泊まっても余るくらいの金はやったつもりだったが……まさかまたドブに捨てたのか?」
酒、賭博、女、、、俺もこいつらもそれなりに遊んできた。
一時期は俺もそれが楽しいと思えていたが、最近はそれも飽き、島に着くと本屋で医学書を買って読み漁ることが多い。
…そろそろこいつらも落ち着いてくる頃かと思っていたんだがな、、、
「ドブに捨てたって、言い方よ。今回は飲んでねぇよ。キャプテンもカラもいねぇし。それよりいいモン買ってきたんだ〜」
「どうせロクなモンでもねぇんだろ。」
「キャプテンも嫌いじゃないヤツだよ。飯食い終わったらカラも一緒にやるからさ、それまでのお楽しみな。」
じゃあ行こうぜ〜
そう言ってさっさとリビングへと戻るペンギン。
その後ろ姿を呼び止めた。
「待て、ペンギン。」
「何?」
「…あまりカラの前で珀鉛病に関するワードは使うな、と、シャチとベポにそれとなく伝えておけ。
それと、俺たち2人がお前らと別行動した時も気にした素振りを見せるな、とも言っておいてくれ。」
「…自分で言えばいいじゃん。」
「…俺から言われたとも言うな。」
「えー」
変にカラの精神状態を揺さぶりたくはないが、それを自分が言うのはなんというか、、、
気持ちが悪い。
それに、シャチならニヤニヤしながら何か言ってくるに違いない。
最近どうもアイツのあの顔が鼻につく。
ペンギンなら自然に言い出せるだろう。
「…まぁ、いいけど。その代わり、今度いい武器買ってくれよ?」
「あぁ。わかった。」
やはり、頼みごとをするならペンギンだな。
買収する先に求められるものが実用的で、こちらも金を渡すだけで済むので楽だ。
シャチならばもっとタチの悪いモンを要求してくる。
ベポなら、、、生鮭とかだろうか?
…いや、そもそもベポはこういう根回しのような作業は向かない。
俺はカラのカルテ代わりのノートを閉じ、ペンギンの背を追った。