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白を厭い、白に憧がる【ONE PIECE】

第3章 白い道


「カラ、2つ、聞きたいことがある。」



「デカイ五本の傷じゃなくて、アザの上にある傷痕はなんだ。」



『昔、何もかもが嫌になって、自分で白いアザを斬りつけたことがある。多分その時の。』




自分で、か。
…その心理は分からなくはない。
だが、先程から、手合わせの時からは想像がつかない程の脆い姿を見て、発病してからどれほど辛い日々を送ってきたのか無意識に想像し、無意識に手を握りしめた。



このよくわからない、悔しさにも似た感情を悟られないよう、あくまで冷静に、カラに問いかける。





「お前、心肺機能に異常を感じたことはあるか。」



『いや、無い、けど、』





やはり、自覚症状はないか。




「わかった。今日はこれで終わりだ。少しでも異常があればすぐに言え。」



『うん…ありがとう、ロー。』






そう言ってカラは部屋を出て行った。





誰も居なくなった部屋で1人ノートと向き合って頭を働かせる。






船が手に入るまでまともな治療はできないのはわかっていたが、その間にも病は進行する。
可能ならば当たり障りのない程度で珀鉛を除いていければ良いと思っていた。
しかし、肺にまで飛んでいたのを見て、想像よりも進行が早いことを悟った。

一度直したとは言え、症例数はたったの1。
それも俺自身の体。
他人の体で、それも原因が根本的に異なる。

やはり安全策を取っておくのが適当か。

それまでは鎮痛剤の対症療法で様子見しながら、今後の治療のためにカラ自身の身体について少しずつ知らなければ。

思い直せば、俺はアイツのことを何も知らない。

正確な年齢も、誕生日も、血液型も、アレルギーも、体重すら知らない。

以前見た眠っている姿は16かそこらかと思ったが、知識量や普段の落ち着いた振る舞い、手合わせの実力、、、18か、それくらいに見えた。

流石に俺よりは年下だろう。

治療云々の前に、問診すらしてなかった自分に嫌気が差す。



俺ももう二度と目の前に現れることのなかった白いアザに動揺していたのだろうか。



いや、それはない。

俺はあの白い柵から抜け出した。

今更縛られるわけがない。




俺はそんな考えを振り切るように、最適な治療プランを組み立てるのに思考を費やした。
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