第3章 白い道
アイツらが居る前では見せないだろう。
そう思ってベポ達に適当に金を渡し、カラと2人で船に残って一度診てみることにした。
鷹の目がコイツの服を上げた時に少し見ただけでまともに診察した事はなかったからな。
ベッドに横になれ、と言ったとき、躊躇うような仕草をしていたのは分かっていた。
あまり見られたく無いのだろう、それくらいしか思ってなかった。
正直、珀鉛病のアザは自分の体で見慣れているし、抵抗なんざある訳がない。
だから躊躇うカラを対して気にもしなかった。
『…ぐっ、』
ベッドに寝ろと言っただけで、呻くような声が聞こえた。
不審に思って振り返ると、額に脂汗をかきながら左腹を押さえて丸まっているカラ。
「オイ、どうした。」
一瞬、こちらに目を向けたが、すぐに閉ざされた。
話す余裕など微塵も無いのだろう。
俺は腕に鎮痛剤を打ってやった。
痛みは和らぐ筈だ。
『はぁ、はぁ、、ごめ、』
何故か俺に謝ってくるこの女。
「テメェ、舐めてんのか。」
何を謝っているかは知らねぇが、どうせつまらんことでも考えてるに違いない。
それよりもだ、コイツ、寝ると痛むのわかってたな。
だから躊躇った。
見られたくないなら服巻くられる時に嫌がるだろ。
何故言わなかったのかと問えば、黙って目を逸らす。
…確かに色々と思うところはあるのだろう。
多少は俺にも覚えがある。
それに、今までまともに診察しなかった俺にも非はある。その上、患者の状態にも気を配れてなかった。
これは俺の過失だ。
俺はその旨をカラに伝えると、ポカンとした顔をしてこちらを見上げてきた。
これからはそんな思いをさせなければいい話だ。
俺は鎮痛剤についても触れ、痛む時はすぐ言うように伝えた。
アイツは心底驚いているようだが、無理はない。
まだ珀鉛病と俺とのつながりは何も話してないからな。
『でも、迷惑、、かける、、、』
この女はバカなのだろうか。
「そんなもんで医者が務まるか。」
俺はさっさと診察を始めようと、カラの服に手を掛けた。