第3章 白い道
『ハァ、、ハァ、、、ごめ、、ロー。』
「…テメェ、舐めてんのか。」
…怒ってる。
やっぱり、こんな病気、相手にするのも嫌だよね。
『…本当、ごめん、、やっぱ、もう「何故言わない。」
『え?』
私はいまいちなんのことか分からなくて、まだ少しだけズキズキする左腹を押さえながら、ローを見上げた。
「…お前、横になると痛むのわかってて黙ってただろ。
俺は以前痛まないのか聞いたよな。何故言わなかった。」
『…それは、』
…みんなが変わってしまうのが怖かったから。
そうは流石に言えなくて、でも、申し訳なくて、不甲斐なくて、こんな自分が嫌で、黙っておくことしかできなかった。
「ハァ、もういい。…だが、今まで治療の約束をしておきながらまともに診ようとしなかった俺にも非はある。
…気がつかなくて悪かったな。」
『…え、、、』
痛むのを隠していたのも私、それを黙って横になったのも私、それなのに、この人は気づいてやれなかったと、謝っているの?
私は呆然とすることしか出来なかった。
「確かに、根本的な治療はまだ無理だが、鎮痛剤くらいなら持ってる。痛むならすぐに言え。いつでもこれくらいなら打ってやる。」
『いや、でも、、迷惑、かける』
「あ?こんなことをイチイチ迷惑だなんだと言っていたら医者なんか務まるか。」
さも当たり前かのように言ってのけるローに私は本当に驚いた。
『…あり、がとう。』
「…まだ何もしてねぇよ。……診るぞ。」
そう言って私のTシャツの裾に手を掛けてきた。
『っ!』
ーパチン!
『あ、ごめ、なさ、、、』
…さっき、本当に真摯に向き合ってくれていたローの手を、私は払い退けてしまった。
もうこれは反射と言っていい。
(絶対に見られたく無い。)
この想いが強すぎて、その付近に人の手があるだけで払い退けたくなる。
私は震える身体もそのままに、こちらを見下ろしているであろうローとも目を合わせられず、ただ、震えていた。