第3章 白い道
「それより、、、ソレ、今のうちに一旦診るぞ。」
『え?』
「…早くしろ、アイツらが帰ってくる前に終わらせる。」
ソレ、といって指差した先にあるのは、白いアザのある左腹。
『…いや、でも、、とりあえず船が無いと無理だって、、』
「それは治療の話だろ。俺はまだソレをまともに診察すらしてねぇ。」
さも当たり前かのように言って船室に入るロー。
とりあえず私も後に続くが、急に診せろ、というローに心臓がかなり早く拍動しているのを感じる。
「…そこのベッドに寝ろ。」
連れて行かれたのはローの部屋。
医療の本が沢山あって、よくわからない器具やらなんやらがいっぱいあるが、きちんと綺麗に整理されている。
…正直、横になれ、というのは今の私にとっては中々の苦痛だ。
横になればソコは痛む。
当然、彼がそんなことを知っているはずもなく、向こうを向いて何やらノートのようなものを引っ張り出している。
「…どうした、早くしろ。」
訳がわからない、と言った風に、ローは私を見て言った。
…やるしか無い。
私は覚悟を決めてベッドに横になった。
『〜っ!…くっ、、、』
…案の定、まるで、鉄の塊でも入っているのではないか、というくらいの重みと痛みがソコを襲い、私は体を丸くした。
杭で打ち付けられるような、ズキン、という痛みが一定のリズムで襲ってくる。
『…ぐ、』
「あ?…っ!オイ、どうした。」
ローが驚いたような顔をしてこちらを振り返ったのが視界に入る。
だが、正直こちらはそれどころでは無い。
しばらく耐えればマシになるのはわかっている。
ローには悪いが、話せる余裕が出るまで待ってもらおう。
『…っ、、、ぁっ、、、、、!?』
もう、目も閉じて痛みが去るのを待っていたら、ローが私の腕に何かを注射していた。
ローが上手いのか、左腹に集中しすぎて注意が逸れていたのかはわからないが、針の刺さった感覚はなく、液体が入ってくる、という違和感に驚いた。
ーと、少し経つと痛みが和らいできたことに気づく。
話す余裕ができて、ローを見上げると、不機嫌そうなローの顔が目に入った。
嗚呼、面倒だと思われたのかな、