第3章 白い道
あれから、ローは1日に一回、私と手合わせするようになった。
幸運なことに、この船はまだ敵船とは出食わさず、ただグランドラインの気候に振り回されるのみの航海を続けていた。
私としても、実戦から遠のいた気がして、実際に体を動かせるのはありがたかった。
やっぱり、まだ私の方が強いけど、ローもあの日から修行を積み始め、メキメキと力を伸ばしている。
ーガッガッガッ!ーーーーーゴッ!
『っ!くっ!』
やはり、かなり高いところから思いっきり振られる刀は重くて、正直正面から受けとめるのはキツい。
ーダン!
「っ、」
でも、おじさまの剣はコレより100倍重かった。
ーヒュッ
おじさまの剣は1000倍速かった。
ーカンッ!!
「…チッ」
重いなら受け流せば良いだけの話。
力で劣る相手との戦いは慣れてる。
私はローの持つ木刀を高く打ち上げ、彼に木刀の鋒を突きつけた。
「…ハァ。」
『…ふふっ』
ため息を吐きながらも、その目は楽しそうだった。
強くなりたい。
その目はそんな希望を称えていた。
まだノースブルーを抜けて1本目の航路。
この強さなら、その辺の海賊よりは頭ひとつ抜けているだろう。
でも、それでは足りないというような、そんな獰猛な目つき。
あなたは何故強さを求めるの?
何のために、いや、誰のために戦うの?
今の私はそんなこと聞ける資格は無いけれど、いつか聞いてみたい。
そう思った。