第3章 白い道
「…キャプテンが…」
「俺、キャプテンが負けたの初めて見た。」
「…俺も。」
クルー達がそんなことを呟いているのが聞こえる。
それはそうだろう。
俺は今まで負けたことが無かった。
年下の、…しかも女に負けるとは、俺以外は誰も予想してなかっただろう。
『ごめん、結局覇気使っちゃったから…もう一回する?』
さっきから言ってるハキ、というのがなんなのかは知らないが、そんなものが無くたって、俺はコイツに負けてた。
「いや、いい。手間取らせてすまなかった。」
『ううん、私も楽しかったから…またやろうね。』
楽しかった、か。
俺はこの女に負けるのは分かっていた。
能力を使っても勝てたかはわからない。
ただ、自分の立ち位置を正確に知りたかった。
ここはグランドライン、能力者なんかうじゃうじゃいる海。
カラは七武海の鷹の目に育てられた剣士。
要は今の俺では七武海には到底及ばないってことだ。
あの男には、まだ、遠すぎる。
俺はもっと強くならなければならない。
俺は折れた木刀を持って、甲板を去った。