第3章 白い道
それから数日、まだ島の影も見えないまま、私達は変わりばえのない景色を眺め、航海を続けていた。
「あー暇。」
「魚も釣れねぇしな〜。」
「嵐よりはマシだよ。」
私は覇気の精度を上げるため、船の後方で1人、瞑想していた。
見聞色は集中が全てだ。
私はどちらかというと武装色の方が得意で、見聞色は苦手だ。
会話を聞いたり、攻撃を読んだりすることはできても、気配とか、そういうのを察知するのが苦手だ。
私は視覚や聴覚などの間隔を閉じ、人や生き物の存在感のような、そんなものを感じようとしていた。
「あーあー、うちの船長とカラはこんな時何してんだろうね〜」
「カラは昨日も一昨日も暇な時は瞑想してたよ?
なんか集中してるっぽいから話しかけなかったけど。あーいうのって邪魔しちゃダメなやつだよね〜。」
「キャプテンは医学書じゃない?俺ら4人旅の時もいっつも読んでたし。」
「つまんねぇな。」
「カラはさ、最近知り合ったばかりだからまだアレだけど、、、キャプテン本ばっか読んで頭おかしくなんないのかな〜」
「もう本が恋人でいいんじゃね?」
「ハハッ、そんなこと言ったらバラされるよ〜」
ーガチャ
「「「!?!?!?」」」
(絶対聞こえてた)
(やばい)
(あ〜めっちゃ睨んでる…)
船室から出てきたのは紛れもなく我らがキャプテン。
手には謎の木の棒が2本。
いや、アレは木刀だ。
向かった先は、素人が見ても話しかけるような雰囲気ではないカラの姿。
「オイ、暇だ。少し付き合え。」
(((え〜〜〜!話しかけるか!?普通!)))
クルー達が自分たちの船長の自由さに呆れてたころ、修行中とはいえ、近くローに気付いていたカラは、ローの持つ木刀を見て、挑発的にニヤリと笑った。
『…いいよ。』