第3章 白い道
「流石キャプテン!」
「最高!」
みんなの感動の声がローを囲んでる。
「…そうと決まれば、出港だ。」
すっかり溜まり切ったログを元に、7つの島の中で最も栄えた島、カッタラーニャ島へと出港した。
ーーーーー航路上
「ねぇ!カラ!コレはどうにかならないの!?」
『ならない!ほら!舵きって!!変に波に抗うとひっくり返る!』
「あぁっ!見て見て!あったの方晴れてる!」
「お!本当じゃねぇか!取り舵いっぱーい!」
『っ!ダメよ!!』
私達はグランドラインの洗礼を受けていた。
凄い嵐。
風が強すぎて、みんな立っているのも辛そうだ。
その中で見えた晴れ間。そこへ向けて舵を取りたいというのは確かに理解できる。
「なんでだよ!このままだと沈むぞ!」
『あっちの方がもっと危ない!さっき説明したでしょう!?アレはカームベルトよ!!』
海王類達の巣。
凪いだ海。
それがカームベルト。
天候は穏やかだが、こんな船でそんなところに行ったら、海王類が方向転換しただけで海の藻屑だ。
「カームベルト?なんだそれ?」
「バカ!海王類の巣だとさっき言われたばかりだろ!黙ってこのシケから抜けることだけ考えろ!!」
ローがいて本当に助かる。
シャチが人の話をあんまり覚えてないことはこの数日間でよく分かったけど、状況が状況だ。
洒落にならない。
「もうすぐ抜けるよ!」
航海士のその言葉で正気を取り戻した私達はたどたどしいながら、やっとのことでその嵐から脱出した。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、、、まじで疲れた。」
「グランドラインやべぇな。」
『ふぅ…まぁ、こればっかりは仕方ない。』
私達はずぶ濡れで甲板の上に座り込んだ。
私もおじさまのいない航海は初めてだし、元々1人で操れるような小舟で海に出る気だったので、こういう、チームプレーのようなものは初めてでかなり疲れた。
『っ、』
左の脇腹が痛む。
今更、何故かはわからないけど、みんなにコレを認識させたくなくて、着替えてくる、とだけ伝えて部屋に戻った。