第2章 白い光
船に帰るともうみんな帰ってきていて、私が最後だったようだ
私の姿に気がついたベポが大きく手を振って出迎えてくれる
「カラ〜!おかえり!!」
『…ただいま。
ごめんなさい、遅くなって…』
「いや…別にいい。』
「カラ!荷物運ぶの手伝うよ!」
『いいの?
ありがとう、ベポ。』
「うん!
ついでにカラの部屋まで案内するよ!」
ベポはそう言って私の腕の中の荷物を半分以上持ち上げて船内へ向かう
…?今私の部屋って言った…?
『部屋って…』
「元々一部屋空き部屋があったんだ!
使ってないし、カラその部屋使いなよ
女の子だから流石に男部屋はダメだし…」
『いや、そこまでしなくても…
あ、私本当に物置でもいいわよ?』
居候…というにも少し違和感のある私の立場
わざわざ部屋なんて用意してもらうのも申し訳ない
ベッドなんて要らないし、雨風さえ凌げれば本当にどこでもいい
ベポにそう答えると、隣から舌打ちが聞こえた
「テメェ…舐めてんのか?」
『え?』
私とベポの会話を黙って聞いていたトラファルガーがジロリと私を見下ろす
眉間の深い皺に睨むような目
そこまで不機嫌になる理由がわからなくて口から間抜けな音が漏れた
「病人の癖にそんな非衛生的な場所で寝起きしようとするな。
オレの前でそんな不養生は許さねえ。」
『…私は別に……』
「黙れ。鷹の目がお前を治せと依頼しそれを俺が受けたあの瞬間から、お前は俺の患者でお前の主治医は俺だ。
言うことは聞いてもらう。」
『…』
それだけ言うとトラファルガーは私に背を向けてさっさと船内に入っていった
警戒も解かれていない上私を見る目は明らかに刺々しいのに、言葉から滲み出る誠実さがなんだかむず痒い
「キャプテン、言い方はあんなんだし顔も怖いけど誤解しないであげてね?
ああ見えてとっても優しい人だから…」
『うん、』
まだ少ししか言葉も交わしてないし時間も過ごしてないけれど、なんとなく、そんな様子は滲み出ていた
ベポと一緒に荷物を運び部屋に案内してもらうと、空き部屋にしては十分すぎるほどの部屋でまた驚いた
するとすぐにペンギンさんが私たちを呼びにきて、落ち着いたらリビングに集合するように言われた