第1章 白の呪縛
『おじさま…これ……』
「っ!?」
『カサブタかなって思ったんだけど取れなくて…』
「…外出の準備をしろ。今すぐだ。」
『え?』
「船を出す。着いてこい。」
もう夜だったにも関わらず、本当にすぐに病院へ連れて行かれた
隣の島の病院
寝巻きのままの私の手を引き、時間外の看板を無視して医者らしき男の人の前に私を座らせた
そこで私が聞いた言葉、
【ホワイトモンスター】
その場にいた医師も、看護師も、私のこの白い肌を見てそう言った
なんのことだか、はじめはよくわからなかった
その目に恐れがあるのは分かったけれど、そもそもおじさまが押し入ったのだから当然だと、それだけしか感じなかった
でも、おじさまはその瞬間激昂して、その病院を真っ二つに切り裂いた
ガラガラ……ガシャン…!
「ヒイッ…!」
『…ぇ?……おじさま…?』
「もういい…
…カラ、帰るぞ。」
『ぁ、はい…』
あんなに怒りを露わにしたおじさまは初めてで、怖かった
ビリビリと肌を刺す覇気
それは鋭利な刃のように痛かったけど、その背中は抱きつきたくなるほど寂しそうだった
城に帰って数日
医師達の言った言葉や態度、おじさまのあの怒りの表情がどうしても忘れられなくて、その理由を知りたくて
私はおじさまの目を盗んで調べた
元々国があった上に、ここは城
医学だったり歴史だったり、政治経済だったり、少し古いものだけど本は沢山ある
おじさまが読み終えた後の新聞達は大抵空き部屋にとってあるから、それを辿ったりして自分なりに調べた
『…白鉛…感染……駆除…?
…そん、な…』
そしてついに、私は自分が珀鉛病という、既に滅んだ王国の病だと知った
それが恐れられる所以も
あの医者達が怯える理由がやっと分かった
感染する、死に至る、病気…
『…おじさま……』
事実を知って唯一浮かんだのは他でもない、おじさまだけだった