第1章 白の呪縛
『おじさま、今回は何処へ?』
「そうだな、東の海はお前にはもう物足らないだろう。
…暇潰しに、北の海まで行ってみるか。」
『ノースブルーか…。』
「…」
クライガナ島、シッケアール王国の跡地。
ジメジメとした気候に人気のないこの島。
そんな環境の中、まるでそれが都合のいいかのように住み着くのは私とおじさま─私の育て親でもある、鷹の目、ジュラキュール・ミホーク。
物心ついた時から、刀を振り、ヒヒ達やおじさまと剣を磨いてきた。
そしてそのときから変わらず、そこにあり続けるものがもう一つ。
「…今も痛むか?」
『いえ、今は全く。』
私の左腹にある大きな五本の切傷。
まるで獣に引っ掻かれたような、そんな傷。
傷そのものは古傷で、跡は残っているものの、痛みはない。
ただ、、、
『でも…また広がってきた…』
「…」
時折現れる耐え難い痛みの原因である、傷の周りの白いアザ。
初めは親指の爪程の小さなアザだった。
このアザが現れた時、おじさまは目を見開いた。
後にも先にも、あんな表情を見せたおじさまはない。
確か、あれは2年ほど前、私が14歳位の頃の話だったかーーーー