第8章 白兵戦
「いや〜マジで焦ったわ。
板の上乗って漕いでる時正直死んだと思った。」
「ボク、一か八かキャプテンぶん投げようか迷ったもん。」
『それは…』
「…もし次同じことがあってもそれはするな。」
ローはため息をついてそう言う。
服が海水で濡れているからか、看板に座り込んでいる。
「にしても、ここまでわかっててやったんだろ?
カラ凄えな!!」
「本当に!
軍艦一隻ボロボロにさせるなんて凄いよ!!」
ペンギンとベポがキラキラした顔で私の方を見る。
…言わないといけないけど、ちょっと胸が痛むな、、、
『ごめんなさい。
ロー達の脱出についてはノープランだったの。』
「え"!?」
『軍艦にピッタリ着けられてたし、速度ではどうやっても敵わないから軍艦の足止めをしないといけなかったんだけど…
海軍の兵力が強すぎて、私たちには無理があった。
だからもう沈めるしかないと思って…』
「じゃあもしかしてもしかしてたら…」
「俺たちは死んでたってことか?」
ローは濡れた帽子を絞りながらジロリと私を見上げる。
『…確かにその可能性はゼロじゃなかった。
でも、もし脱出が無理そうなら私もそっちに行ってあの少将の相手をするつもりだった。』
後から何を言っても言い訳にしかならないけど、万が一のことがあれば、手配書が出ることになっても助けに行った。
「…俺がアイツに勝てないと決まったわけじゃあねぇだろ。」
『…あの少将、能力者だった。
多分、自然系の。
覇気を使えないローは触れることもできない。』
部下達が一刻も早く救命ボートに乗るように説得していたし、一瞬だけ体が原型を留めていない場面があった。
…ロー達がすんなり軍艦から脱出できたのも、あの少将がボートに乗って辺りに指示を出していたからに過ぎない。
『…急にあんなことしてごめんなさい。』
「「「…」」」
私はみんなに向けて頭を下げた。