第8章 白兵戦
「キャプテン…!」
「…チッ」
水面から近い分、少しの波で海水が上がってくる。
足元はすでに濡れていて、そこから吸い取られるように力が抜ける。
…クソ、腕が上がらねぇ。
「キャプテン!あれ!!
船から何か飛んでくる!!!」
「ぁ?」
ベポの声に顔を上げると、キラキラと太陽の光を反射させながら飛んでくる拳大の塊。
…船上のカラの様子からして、アイツが打ち込んだんだろう。
パシッ!
「っ、これは!」
「あっ!」
そいうことか。
俺は手のひらに収まったそれーーーーブレスダイアルを見て、自分の口角が上がったのに気づく。
「…ペンギン。
これを水中で持って、ここのボタンを押せ。
絶対に離すなよ。
ベポ、なるべく後方にいろ。」
「「アイアイ!!」」
ベポとペンギンを後方に。
俺は前方へ乗り、少しだけ板の前を浮かせる。
これで少しの間なら持つはずだ。
「行きますよ!」
「ああ。」
ぼこぼこぼこーーーーザバァ!!!!!
「っ!」
「うわぁ!!」
「重心を動かすな!!
ペンギンもういい!一度ダイアルを上げろ!!」
「了解!!!」
ダイアルを上げると、イカダはその勢いを段々と緩めながら船に近づく。
ここなら…
「Roomーシャンブルス!!」
ヒュン!!
「キャプテン〜!!!」
『…おかえり、ロー。2人とも。』
予め用意してあったものだろう。
小石と入れ替わると、目の前には涙を浮かべるシャチとタオルと着替えを手に持つカラの姿。
俺はカラの持つ一番上のタオルを手に取った。
「あぁ。」