第8章 白兵戦
流石は海軍。
パニックになりながらも、海が天敵である能力者はすでにボートで退避してるし、海に投げ出された人たちは全員救命胴衣を着てる。
この気候ならしばらく海に浸かっていても死にはしないから、応援が来るまでは耐えられるだろう。
「ああ!キャプテン達が…!!」
『イカダ…』
ローに全てを丸投げした私が言うのもなんだけど、思ったよりも古典的な方法で帰ってこようとしてる。
…でも、流石にあれじゃここまでは辿り着けない
「カラ!!どうすんだよ!!
このまま見殺しになんてしないよな!?」
『もちろん。』
ローの行動次第だったけど…
でも、ローがそう来るなら、私も打つ手がある。
『ちょっと待ってて。』
「へ?」
えっと…確かこの辺に、、、
『あった。』
「カラ…それって、、、」
『こういう時にも役立つのよね。これ。』
ただ、あそこに届けるには…どうしよう。
遠すぎて投げても届かないな…
…あんまりしたくはないけど、、、仕方ない。
『…ふっ!!!』
カキィン!!!!
…ごめん、小夜。
私は鞘に入れた小夜でそれをローのいるイカダに打ち込んだ。
…よし、ちゃんと届いた。
これでもう大丈夫だろう。
私は少し胸を撫で下ろすと、3人分のタオルと着替えを取りに船室に戻った。