第8章 白兵戦
「沈むぞ!!救命ボートの準備を!!!」
「救命胴衣もだ!」
「少将!!浸水の勢いが早すぎます!!」
軍艦は船首を空に向けて徐々に傾いていく。
足場が傾く中、積荷や体幹の弱いものはどんどんと船尾の方へ滑り落ちていく。
「ペンギン!ベポ!!捕まれ!!!」
「うん!」
「うぉっ!」
船上はパニック。
もう誰も海賊など見えてもいないようだ。
「…キャプテン、、、」
「俺がキャプテン背負って船まで泳ぐ!
ベポは自分で泳げるだろ?」
「いや…無理だ。」
穏やかな海なら或いはその選択肢が取れたかもしれない。
だが、軍艦ほどの大きさの船が沈むとなると、辺りの海流は荒れ狂う。
1人でも生き残るのは厳しい上、大の男1人背負うなんざ以ての外だ。
…もうここまで来たら、カラが何を考えているかなんざどうでもいい。
とにかく、ここから船までどうやって帰るかを考えねぇと。
「うわぁぁあ!!」
「早く!!早くボートを出せ!!!渦に巻き込まれるぞ!!」
「Roomー」
…クソッ、
最大限に張っても届かねぇか。
「キャプテン…」
「…チッ、、、お前ら!とにかく何か浮くものに乗れ!!
ここにいたってどうせ沈む!!!」
「アンティピュート!!」
スパン!!
「こっちだ!!乗れ!!!」
「お、おう!」
「うん!」
軍艦の床を切り取って海に浮かべる。
ただの板だが、このままここにいるよりはマシだ。」
「漕ぐぞ!できる限り軍艦から離れるんだ!!!」
「「アイアイ!!!」」
その辺に浮いていた木片を使って適当に漕ぐ。
…所詮は3人の人の力。進んでいるかも怪しい。
「…進んで、る?」
「いや、正直後ろに下がってる気が、、、」
「死にたくなけりゃ黙って漕げ!」
後ろに下がってるのは事実だろう。
すでに流れが生まれ、俺たちを引き込もうとしてる。
…何か、、何か、この状況を打開する策は、、、