第2章 白い光
『…白熊さん』
「…」
『ねぇ、白熊さん!』
「えっ!あ…ボク?」
『そうよ』
私から話しかけられたことに驚いたのか、一瞬反応が遅れて返事をした白熊さん
少したじろぐような様子を見せたけれど、それに構わず話しかける
『さっき言ったことだけど…』
「あ……うん…」
『誇張して言った訳じゃない。
それだけリスクのある海を行くのは変わらないわ。
グランドラインでは如何なる常識も通用しない。』
「…」
『でも、海賊船に乗った以上…船長である彼に着いていくと決めた以上、それは最初から避けては通れなかったはず。』
ただただ弱者を嬲り、略奪を目的とした海賊ではないのは表情だけで分かる
おじさまと対峙した時の様子がそれを示していた
『だったらもう立ち向かうしかないじゃない。
船長の彼はもうとっくに覚悟を決めてる。
その上で貴方を信頼してグランドラインに入ることを決めたのよ?』
「っ…!」
『もう一度よく考えて。
仲間のために貴方は何がしたいのか。
そのためには何が必要なのか。』
着いていくと決めた人が、例え1人でも進み続けるなら、その背を追う私たちには落ち込んでいる暇なんてない
いつかその人の隣に胸を張って並べるように、その人の夢を叶えるために必死になって追いかける
私も…最初はそうやって前を向いたんだった
今はもう懐かしい
初めて剣を握っておじさまと稽古を始めた頃を思い出した