第8章 白兵戦
だから、最初から全滅なんて選択肢はない。
私たちの目的はあくまでも、
『振り切ることだから…!』
ドン!!!
砲弾の軌道を逸らし海に落とすと、その砲撃台も潰して使えないようにする。
『シャチ、軍艦の後ろに船をつける。
手伝って。』
「後ろ?」
『いいから。』
「あ、あぁ。」
大きな軍艦より遥かに小回りの利くローの海賊船。
上手く帆で風を受けながらスイスイと軍艦の後ろへ回り込む。
「少将!奴らの船が後方へ逃げます!!」
「はぁ?」
「砲弾で応戦はしていますがこちらに戻る気配もなく、、、」
北の海のハートの海賊団。
最近グランドラインに入ったと言う報告があった。
若く、この海に入ったばかりだと言うのにかなり効率的に航海を進めていたため本部からも注意喚起があった。
船長はオペオペの実の能力者だと言う。
「少将、追いますか?」
部下の背後を見やると、看板で戦っている船長を見向きもせず走り去る船。
「いや、捨ておけ。
トラファルガー・ローさえ抑えればあとはどうでもいい。」
「は!」
ハートの海賊団の賞金首はトラファルガーただ1人。
大凡、軍艦にここまで詰められて逃げ切れないと踏んだのだろう。
船長を置き去りにするのは如何なものかとは思うが所詮は海賊。
自分の命が惜しくなり逃げたのだろう。
「ハートの海賊団の船は逃げおおせた!!
総員!甲板前方のトラファルガー・ローの首を取れ!!!
海軍の勝鬨を上げるのだ!!!」
「「オォ!!」」
さぁ、仲間は逃げたぞ。
それを知りながら、今のように戦えるか?
「え!逃げた!?」
「ベポ!耳を貸すな!
カラとシャチが逃げる訳ねぇだろ!!」
「…だが、、、何をするつもりだ?」
逃げたわけではないのは明白。
おそらくカラの指示だろうが…全く意図が掴めねぇ。
将の檄で士気の上がった海兵。
…かなり厄介だぞ。