第8章 白兵戦
2人の声が聞こえたのか、ベポとローが不思議そうな顔をして私たちの手元を覗き込む。
『これはダイアルって言って、空島に生息する特殊な貝殻の死骸よ。
沢山の種類があって、これはそのうちのひとつ。
風を中に取り込んで、いつでもそれを引き出せるブレスダイアルっていうもの。
確か、空島ではダイアル文化が盛んで、生活の中には欠かせない物だと聞いたことがあるわ。』
ローは私の手からブレスダイアルを受け取ると、興味深そうに観察する。
「なるほどなぁ…なかなか面白い。」
「てか空島なんて本当に存在するのか?」
「信じられねぇ。」
『確か上空10000メートルにも及ぶ高度って聞いたけど、、、』
「「「いやいや、流石に…」」」
「だがお前ら、新世界に行くのには海底10000メートルだぞ?
魚人島は本当に存在するからな。」
「「「…」」」
『それなら、上空10000メートルに島があっても不思議じゃないでしょう?』
まぁ、確かに普通なら有り得ない。
でもその普通が通用しないのがグランドライン。
常識なんて知らない方がここでは長生きできる。そんな海に私たちはいるんだ。
「へぇ、にしても、、、本当にいろんな形があるな…
お、これなんだ?」
『あっ!シャチ!!それは…!!!!』
「え?」
ドン!
「うわぁぁぁ!!」
『シャチ!!大丈夫!?』
「っ、」
「う、うでが、、、」
シャチの腕を優しく取る。
カタカタと震え、青く変色してるところもある。
あぁ、多分これは…
「…折れてるな。」
「痛ぇ、、、」
ローがRoomを展開させてシャチの手当をする。
私は傍に落ちたダイアルを回収した。
「…え、なにこれ、、、」
咄嗟のことに驚き、半放心状態だったペンギンがそう問う。