第8章 白兵戦
ベポと共に雑魚を片付け、船へと走る。
見えてきた船。
ペンギンもシャチも怪我はかなりしてるが無事なようでホッと息を吐く。
船の手前には大量の残骸。
しかも全員しっかり生きてる。
そしてその中には刀を抜いたまま下を向いて佇むカラ。
…変だな。
「ベポ、先に船に乗ってろ。」
「アイアイ!」
視界の端でペンギン達とベポが感動の再会を果たしてるのを捉える。
カラも怪我は…してなさそうだ。
「カラ、どうした。」
『…』
「オイ!」
『っ!…ろぉ?』
応答がなかったため、肩に手を置いてこちらを向かせた。
一瞬ピクリと肩を揺らし、俺の目を見ると大きな瞳をパチクリと瞬かせる。
「あぁ。どうしたんだ。」
『?えっと、、あ、』
そこでカラはやっと異常に気づいた。
自分のではなく、刀の。
『小夜が…』
「…カジノにいる時からなんか変だったぞ、ソイツ。」
『うん、、怒ってる。』
カラはそう言いながら黒刀を撫で、目を瞑って額に当てる。
しばらくそのまま立っていたが、そろそろ船に、と声をかけようとした。
その瞬間、カラは顔を上げて俺に笑った。
『ごめん。…行こうか。』
「あぁ。」
カラは一振り、刀を振るうと鞘に戻した。
その姿はすっかりいつものカラで、先程の殺伐とした姿が嘘のようだった。