第8章 白兵戦
「カラスッゲェ。」
「あぁ…」
黒刀を自分の体の一部のように扱い、敵を倒していくカラ。
倒した敵の数に対し、その体には殆どと言っていいほど返り血が付着していない。
カラが動くたびに翻るドレスの裾も、風圧に靡く髪も、全てが計算されたかのように戦う姿は美しく、空に舞う血の赤でさえ、カラを彩る花びらのようだ。
「でも、なんか変だよな…」
「あぁ。」
どこが、と聞かれれば上手くは言えないが、なんとも言えない違和感がそこにはある。
強いて言うなら、、、、顔が怖い。
相手は1人も死んではいないけれど、正直、カラの顔を見るだけで腰を抜かしてる奴もちらほら…
美人が怒るとほんとに怖いな。
「…いつも笑ってる顔しか見たことなかったからな…」
「…めっちゃ怒ってるよな、、、」
思わずぶるりと身震いする。
いや、逆に笑顔で刀振られても怖いが、、、
でもなんというか、怒ってはいるんだろうけどその太刀筋は相変わらず綺麗だし、傷は負わないし、、、相手は殺さないし…どこが冷静さも少しは残っているのかもしれない。
「あ、もうすぐ終わる。」
横でペンギンがそうつぶやくと、カラは最後の1人を戦闘不能にしたところだった。
…俺たち死にかけながらやったのに、、、すげぇな。
『フゥーッ………』
髪が影になって表情は見えないが、どこが様子がおかしい。
一向に鞘に刀を納めようとしない。
?どうしたんだ?