第8章 白兵戦
ベポが連れ去られてどれくらい時間が経った?
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、、、」
「はっ、はっ、、、」
俺もペンギンも限界が近い。
船の上で完全に囲まれ、互いに背を預けながら戦う。
「ハァ、ハァ、、、オラっ!!」
刀を持つ手が重い。
腕が上がらなくなってきた。
「シャチ!!」
「っぐっ!!」
ペンギンの声で少しはズラせたが、、、少し掠っちまった。
体力の限界もあるが、俺もペンギンもいくつか深手を負わされてる。
そろそろマジでヤバい。
「はっ!」
ペンギンも動きが鈍い。
長年一緒に戦って来たからわかる。
その左足、殆ど重心かけられてねぇ。
さっきから攻撃が浅いのはそのせいか。
目の前が霞む。
もう、無理だ。
そう、頭で考えてしまった。
その時、
「っ!!!ペンギン!後ろだ!!」
諦めかけていた中、親友の背後に迫る敵に気がついた瞬間、どこからそんな声が出るんだと言いたくなるほどの声が喉から溢れた。
だが、ペンギンの左足はもう限界。
俺もとてもじゃないが間に合わない。
「っくそ!」
ペンギンの体から血飛沫が上がる光景から目を背けるように、目を瞑った。
刹那、隣をこの場には似つかわしくない、ラベンダーの香りの風が通る。
キィン!!
『っは!…ペンギン!シャチ!!無事!?』
「カラ…」
目を開くと、キャプテンの上着を背中に羽織ったドレス姿のカラ。
絶望的な中やってきた彼女は、いつも俺たちをたすけてくれるキャプテンの姿と重なって見えた。