第2章 白い光
つまり、何が言いたいかというと
『…ねぇ、このままじゃあの船、沈むわよ』
「え…?」
私の言葉に白熊さんは驚いたような、不安でいっぱいの目を向ける
その目を受けながらさらに言葉を続けた
『私が提供できるのはあくまで知識と戦力だけ。
実際に船の進路を決めるのも、それを動かすのも、貴方達でなければならない。』
「…」
『進路を決めるのは船長の仕事でも、実際に動かす要となるのは航海士である貴方。
その貴方が前を見ていないなら、船はどうやって前に進むの?』
何故か下を向く白熊さんを見ているとフツフツと小さな苛立ちが湧く
こんな風にぶつけるのは良くないとわかっているのに、どうも口が止まらなかった
「…ごめん……」
『…』
別に、謝ってほしかった訳でもない
私はまた更に小さくなったように感じる彼を見てひとつ息を吐くと、他にも必要な物を買うために足を進めた
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「キャプテン、良かったんすか?」
「何がだ」
「あの女にログポース?だっけ?
そんな大事な買い物頼んで。」
「ああ。問題ない。」
ペンギンと合流し、ロープや板のような備品を買い求めながらそんな会話をする
こう見えてコイツは疑り深い
あの女とペンギンを一緒に買い物に行かせようものなら、ギクシャクどころの話ではなく買い物すらまともにできなかっただろう
「そんな切羽詰まってるわけでもないんだし、明日キャプテンとベポで買いに行ってもよかったんじゃないんスか?」
「まぁそれもそうだが…
あの女だって航海中に死にたくはないだろう。
その点は信用するしないは別問題だ。」
実際その通りな訳で、カラは海難による死は良しとしていない
可能であればミホークの元で、または剣士として散りたいというのが彼女の本音だ
「ベポのやつ…大丈夫かな」
「そう心配するな。」
ベポは良くも悪くも自分の力をよくわかってる
あの女の言うことにとりあえず嘘はない
ならばウチの航海士の考えを全力で支持するだけだ