第2章 白い光
海賊船はグランドライン一歩手前の島、ノワール島へと辿り着いた
グランドラインの入口ということもあり活気づいた島は物資も情報も豊富そうだ
十分な補給が行えそうなことに安堵し、私と船長である彼は小さく安堵の息を吐いた
航海で何が怖いって、物資に限りがあることだ
船を島につけ、各々作業を終えると看板にとりあえず集合する
「まず…シャチ、お前は船番だ。」
「え〜!」
「ペンギンは食料、俺は医薬品を買いに行く。
それが終わったら次は燃料やら備品やらを見に行くのに着いてこい。」
「アイアイ!」
「で…テメェはベポと一緒にそのログポースを手に入れて来い。
その他グランドラインで必要になるものは随時揃えろ。
そのあとは勝手にしろ。」
『了解』
そして船番に当たってしょげてるシャチさんを残して、私たちはそれぞれ出かけた
賑わいを見せる屋台を横目に、航海士である白熊は浮かない顔だ
恐る恐る、といった風に私に話しかける
「ねぇ、グランドラインの海域ってさ、方角も分からないし、気候もでたらめだって、本当の本当?」
『まぁ…』
「…俺、自信なくなってきた、、、」
『…』
「大丈夫かな…」
図体に似合わず小さくなる白熊
まるで私が初めて舵を握った日の姿と重なり、どこか胸がこそばゆい
気の利いた言葉ひとつかけられないまま、海図などの航海道具を揃える店にたどり着いた
「いらっしゃい。何をお探しかい?」
『ログポースを。』
「…グランドラインに入るのか。…そこの棚にあるよ。」
『ありがとう。』
私と航海士さんはログポースとその他にも色々、航海に必要なものを買っていった
『ふぅ、これくらいあれば取り敢えずはどうにか…』
「へぇ…結構必要な物あるんだね」
『そうね…
ある程度は揃えておかないと、失敗は直接死に繋がる海だから…』
「…」
白熊さんと買い物をして数時間ほど
出会ってからも短い時間しか過ごしていないけれど、もう既に不安だ
確かに私はグランドラインから来た
あの海の航海も初めてではない
が、私は航海士ではないのだ
海図なんかは書けないし、海や気候の原理の知識も乏しい