第8章 白兵戦
残りの数もだいぶ減り、終わりが見えてきた頃、デカブツに耳打ちする部下の姿が目に入る。
…何か企んでやがるな。
カラに視線を向けると、やはりアイツも当然勘づいていた。
「ックク、ハハハハハッ!!
トラファルガー、貴様はもう終わりだ!」
「…」
「そこの女がそれだけ強いのは誤算だった。
懸賞金がかかっていないのが不思議なくらいだ。」
当たり前だろう。
鷹の目仕込みの女だぞ。
頭の中でそんな悪態を吐きながら、さっさと本題を言わねぇヤツにイライラする。
「…お前はクルーを大事にする口だろう?
これを見ろ!!!」
バサッ
「なっ!」
『ぁっ!!』
布がかけられた四角い物体。
その布をヤツが剥ぎ取ると、意識のないベポ。
その首には首輪が嵌められ、檻に繋がれている。
「おっと動くな。
コイツの首輪が爆破されても良いならな!」
「ッチッ、、、テメェの狙いはベポだったか。」
俺をここに誘き出し、手薄なウチにベポを掻っ攫ったのか。
…ペンギンとシャチは無事か?
「察しがいいな。
そうさ。言っただろう?俺もお前とサシでやって勝てると思えるほど馬鹿じゃない、と。」
「…」
「ミンク族は高値がつく。
コイツを盾に貴様の首も取れば名も上がる。
ついでにそこの女も手に入る。
ここまで俺に運が回って来ることがあるか?」
ベポはウチの海賊団の中で俺を除くと一番腕が立つ。
鷹を括っていたが、それがいけなかった。
『…』
チリチリと肌が刺激されるほど、隣のカラが殺気立っているのがわかる。
…首輪を外すのも、ベポを檻から出すのも能力を使えば容易い。
だが、ベポを抱えてこの混戦を抜け、コイツらを引き連れながら無事かも怪しい船に戻って出港するのはリスクが高い。
絶対にここで敵を片付け、ベポを連れ戻らなければならない。
…どうする。